特別展

観戦記
(でもゲームにはほとんど触れてませんが・・・)


  

2002.6.21 静岡スタジアム エコパ 

その@ 〜ワールドカップ開幕まで 
4年に一度行われる世界最大のスポーツイベント、サッカーのワールドカップが日本で、しかも地元静岡で行われるということで、観戦に行ってきました。
 まず、チケットですが、1次販売では見事に玉砕しましたが、サポーター販売で引っかかって見事ゲットできました。さすがに年間シートのチケットもってて、チケット半券応募の対象になってるホームゲームは全部見に行ったおかげで、ジュビロの配分949組に選ばれ、さらに試合毎の抽選の結果、第一希望のエコパ開催の準々決勝が当たっちゃいました。正直、一番確率の低い方法でチケットを取った気がします。まぁ、ここですべての運を使い果たしたため、その後の2次販売・3次販売・コカコーラ製品買いまくり・マックのハンバーガー食べまくり・マスターカードで無駄遣い・・・と、手を尽くしたけどことごとくダメでしたけど。結局、初めてのワールドカップは1試合という事になりましたが、一生に一度になるであろう日本でのワールドカップに関われるだけで、感無量といったところでした。
 チケットを確保したら、次に気になるのは対戦カード。12月1日のファイナルドローは、日本の対戦相手も気になったけど、それ以上に、自分が見に行く試合のカードを読むのに一生懸命でした。よく「トーナメントでは準々決勝が一番面白い」なんて事も言われるんで、どこが来ても好ゲームが見られるだろうけど、せっかくだから優勝経験国の注目カードが見たいじゃない、って思ったら、A組にフランス、C組にブラジル、F組にアルゼンチン・イングランド、そしてH組に日本ということになりました。エコパでの準々決勝はA組1位×F組2位とC組1位×H組2位ということで、フランス×ブラジル・・・いいねぇ〜、アルゼンチン×ブラジル・・・これもいいねぇ、準々決勝での日本戦となれば内容以前にプラチナチケットになるなぁ〜と、あれやこれや半年間いい夢が見られることになりました。
 ファイナルドロー後は、職場にあったカウントダウンボードの数字同様、ワールドカップ絡みのことがいろいろとあり、またマスコミのおかげで嫌が上にもいよいよ、いよいよだという気持ちが大きくなってきました。12月には、年末押し迫った頃にチケット代がドーンと引き落とされてビックリしたし、1月にはバファリン飲んで一時的に熱下げてワールドカップのトロフィーを見に行くし、2月はソルトレーク一色だったけど、終わったとたんに「次はワールドカップ」ってまた盛り上がってきたし。それ以外にも、カウントダウンピンズを集めていたんだけど、その発売も200日前、100日前ってなってたのが45日前、30日前、20日前、10日前、開幕と買いに行くのも忙しいくらいになってたから、なおのことですよ。
 5月に入ると、待望のチケットが到着。しっかり名前も入ってて、マニアにはたまらないっす。あとは、いいカードになってさらに価値が上がればなぁ〜と。それから、日本代表メンバー決定後の壮行試合「日本×スウェーデン」を観戦に国立競技場まで行って来ました。ワールドカップでは日本戦を観戦することができないし、「10」番つけたゴンちゃんの姿を見るチャンスもここだけだから行かねばならぬということで。でも本当は初の「天覧試合」ってのに惹かれて行っちゃったりして(ちょこっと右よりなのかな?)。代表にとっても自分にとっても、ワールドカップの予行練習という意味合いもあるゲームだったので、混み具合とか、荷物とか、ゲートでのチェックとか、そしてスタジアム内の雰囲気とかもしっかり確認してきました。これで代表もナマで見たし、予行練習もしたし、さぁいよいよワールドカップの開幕だ。
そのA ワールドカップ開幕
 5月31日。ソウルでのフランス×セネガルでワールドカップが開幕。4年前の興奮が一気によみがえり、それから昨年のコンフェデレーションズカップでの日本の活躍と盛り上がりの再現の期待も生まれ、さらには自分が見に行くゲームへの期待感も強まりました。今度のワールドカップはどんな名場面が生まれるのだろう・・・ワールドカップの歴史に残る大会になるだろうか・・・って。そうしたら、初日から「ワールドカップ新世紀」を強烈に感じさせる結果になりましたね。前回王者で、この4年間トップに君臨してきたフランスが、初出場のセネガルに土をつけられたんですから。サッカーファンも、にわかの人も驚いたでしょう。また、初戦を落とした国はみんな予選リーグ敗退になってるなんてデータもあったから、フランス優勝と予想した解説者は困ったでしょう。そして、エコパでの準々決勝を勝手に「フランス×ブラジル」と決め込んでいた私も驚きましたよ。
(せこせこ付けてたスコア表。赤線で囲ってあるのが見に行く試合)
 続いてワールドカップの興奮は、ソウルでの驚きを伴って日本にも上陸。日本では、南米予選を圧倒的な強さで突破した優勝候補筆頭のアルゼンチンがまさかの脱落、イタリア・イングランドはかろうじて決勝トーナメントに駒を進めるという状況。毎日サッカーをライヴで見るというのも初めてだったけど、その毎日のゲームのほとんどが驚くべきものだったというのも初めてだったと思います。そのおかげで、開幕から対戦/トーナメント表ポスターに結果を書き込んでましたけど、楽しかったですよ。その代わり、1試合1試合の内容が濃かったんで、準々決勝まですごく長く感じました。ワールドカップは開幕したけど、私の開幕はまだまだ先だなぁ〜と毎日思ってましたから。
 15日が過ぎ、決勝トーナメントが始まると、やっといよいよだという感じになってきました。決勝トーナメントの注目はなんといっても日本×トルコと自分の観に行くゲームのカードが決まるデンマーク×イングランドとブラジル×ベルギー。フランス×ブラジルという4年前の決勝戦カードを観る夢は絶たれたけど、まだイングランド×ブラジルがある、とこの2チームはホントに応援しましたよ。そのおかげでか、イングランド×ブラジルは実現することとなり、今大会最も注目されたベッカム率いるサッカーの母国イングランドと復活したエースストライカー・ロナウド擁するサッカー王国ブラジルとの「事実上の決勝戦」とも称された世紀の一戦に立ち会うことができることとなりました。一緒に行くことになってる友達は「本気のブラジルをナマで観られる」と、私は「これでこのチケットの価値もあがるし、いいお宝になりそう」と喜びましたよ(いいゲームが観られそうってのも、もちろんありましたよ)。とにかく、2002年6月21日はサッカー史にも自分史にも特別な日として記録されるだろうと、期待に胸膨らませつつ、その日を迎えることとなりました。
そのB ちょっとそこまで、ワールドカップを観に
 6月21日。梅雨時であることをすっかり忘れさせるような青空とそこから注がれる強い日差しに起こされ、その日が始まりました(いつものお休みとなんら変わりのない始まり方なんだけど)。キックオフは15:30だったけど、こういうのはキッチリ計画たてても必ずズレが生じるものなので、今日は1日ワールドカップを体験することにしようということで、午前中から会場に向かいました。
 昨日までは、いよいよだなぁと思っていたんですが、当日になると実感が湧かなくなりました。ワールドカップを観に行くといっても、会場が行き慣れたエコパですから。ワールドカップというものは、夜更かしをしてテレビの前で観るものだとアタマにあるゆえの感覚だろうけど、それが日本で、しかも袋井であるなんて普通考えられないですからねぇ。浜松駅の構内までいったら、それなりの格好をした人や外国人がいつもよりたくさんいたんで、ちょっとは「やっぱりワールドカップかな」って気にもなったけど、400円の切符を買って東海道線に乗ったときには、「みんな騙されてるんじゃないのかも」なんて思っちゃいました。それだけ、ふだんと変わらない感じだったので。約20分で愛野駅に到着。ホントこんなに近くていいのかい?
 しかし、改札を出るといつもの愛野駅・エコパではなくワールドカップの会場でした。まず、「チケット譲ってください」のボードを持った人たちが並んでました。今大会でもテレビでよく見ている光景だ。駅を出るとまず黄色が目立ちました。全国的に「イングランド」「ベッカム」と騒がれているけど、さすがは「日本のブラジル」サッカー王国静岡だけあって、ブラジルサポもいっぱいいるじゃんっと思ったけど、進むにつれて白いユニが増えてきて・・・どうやらあのあたりだけだったみたい。イングランドの人もたくさん来てるんだけど、それよりも日本人が多かった。みんな白いのやら赤いのやらを着てるんだもん。しかもみんな「7番」。今日はベッカムが何人いたんでしょうねぇ。
 ワールドカップということで、普段はなーんにもないところにもテントがいっぱい建ってて、いろんなイベントやお店がありました。が、ここは日本・静岡・袋井ですから、「お茶」と「メロン」に「富士山の雪解け水」に「法多山のだんご」にと、慣れ親しんでるものがいっぱい。「ワールドカップだ!」という気持ちと「ワールドカップか?」という気持ちが混在するのもよくわかるでしょう。
 今日は友達に合わせて(というわけではないけど)ブラジルサポでいこうということになって、ブラジルのレプリカユニを買おうと歩き回ったんだけど、全然なくて。白いのはたくさんあるんですけどねぇ。あったとしても、子供用(たぶん着れるとは思うけど)とバッタもんのTシャツくらいで。結局、黄色いTシャツを買いました。着るかどうかはスタジアムに入っての周りの様子で決めようということで。
 本日の昼食は、会場の露店で売っていた焼きそば(500円)とお茶。しつこいけど、ホントにワールドカップかなぁ。しかも、普段サッカーを観に行くときのご飯よりもセコかったような・・・。でも、イギリス人サポもブラジル人サポも同じように食べてる姿を見ると、やっぱりワールドカップだなぁと。そう考えると、この焼きそばも、外国の方から見れば「日本代表」なんですよね。お好み焼きも、たこ焼きも、おにぎりも、お寿司も、焼き鳥も・・・そうですよね。コレを機に、ヨーロッパでお好み焼きとかが流行ったりして・・・日本でハンバーガーなどのファーストフードが流行ってるっけど、この日本代表もよく考えりゃみんなファーストフードですからね。2006年のドイツワールドカップで、焼きそば屋さんが2大会連続出場してたりして・・・(な、わけないわな。)  
(↑本日最初の食事)

      
(イングランドサポの後ろでお好み焼きを食すブラジルサポの友達)
 さて、腹ごしらえもしてゆっくりしたいところだけど、外は暑いから、ちょいと早いけどスタジアムに入っちゃおうということで、いざエコパに向かいました。愛野駅から歩いてスタジアムに行くのはこけら落としのダービー以来だったけど、こんなに距離あったっけ?って思っちゃいました。半分くらい行ったところで、「0.5次ゲート」登場。ここではチケットをチェックして、それからボディチェック時に身につけた貴金属類を入れておくビニール袋をもらう。ゲート通過後、もらった袋を見てみたら、JAWOCのオリジナルだったので、わざわざ戻ってもうひとつもらってくる。こういうグッズが大好きなので。
 動く歩道を使って坂を上ると、正面にエコパが見えてきました。エコパを正面から見るのも久しぶり。やっぱり大きいですなぁ。
(暑い中、ごくろうさんです。)
 スタジアム前までやってくると、ここで「1次ゲート」が出現。ここもチケットの確認なので、首に掛けているチケットホルダーを見せて簡単にパス。 
 さらに進むとちょっと物々しいオリの様なのが目に入ってきました。ここが「2次ゲート」。中に入ったら、まずは荷物のチェックから。この辺は、Jリーグにおいても普通に行われているので、こっちも慣れたようにカバンを開けて、中をゴソゴソッとやってあげて、難なく通過。続いてボディチェックだけど、こっちも先日のスウェーデン戦でも経験済みなので、あらかじめ携帯とか財布とかを0.5次ゲートでもらったビニール袋に入れておいて、チャチャッと済ませました。自分は別に怪しいモノは持っていないので(怪しい趣味は持ってるけど)いつもスンナリ通っちゃうけど、今回のワールドカップで実際引っかかった人って、どのくらいいたんでしょうねぇ。
 スタジアム周辺では日清やら野村証券やらのイベントブースがあったけど、混み混みだったのでパスして、とりあえず公式プログラムと対戦Tシャツを買わないとってことで、暑い中人混みに入ってヨレヨレになりました。なんかスタジアムに入る前から疲れちゃったので、もう中に入って席でのんびりすることにしました。
 「3次ゲート」では「キレイにもぎってちょうだいね〜大事なコレクションなので」と思いながら、チケットをもぎってもらって中へ。中もいつもとそう変わるもんではないので、迷うことなくスタンドへ。ただ、スタンド入り口が5階だったので、ここでも体力を奪われました。スタンド入り口が「4次ゲート」ということで、再度チケットを確認してもらっていよいよスタジアム内へ。まだキックオフまで2時間ほどあったんで、お客さんもまばらで、この期に及んでまだワールドカップという実感が薄かったです。まだ時間はたっぷりあるから、まずはのんびりして、だんだんとワールドカップモードにもってこればいいかと思ってたんだけど、のんびりしてられない事態が発生。この日のために新調して、スウェーデン戦でわざわざテストまでしてきたデジカメが、スタンドに入ったらウンともスンとも言わなくなりました。バッテリーの抜き差しとかをしてもダメ、ちょっと放っといてみてもダメ。引き続き復活に掛けるか、それともあきらめて「写ルンです 望遠」を買うか・・・。少し考えて後者を選択しました。念のため買っておいて、もう一度デジカメのほうも試してみることに。結局、デジカメのほうは生き返らなかったので、ワールドカップ用に用意したデジカメなのに、ワールドカップのゲームを撮ることなくスタンドを後にすることとなりました。オフィシャルスポンサーであるフジのデジカメなのにねぇ。

  
    
      
 キックオフの時間が近づいてきて、スタンドもだんだんと埋まってきました。今日のゲームで「イングランド×ブラジル」ということでイングランドのホームということになるんだけど、ワールドカップなのに開催国戦以外でこんなにホーム一色になるとは思わなかった。私の席はブラジル寄りだったんだけど、右も左も前も後ろも白もしくは赤いユニの人ばっかり(左斜め後ろはゆかただったけど)。なので外で買った黄色いTシャツを着るのに気が引けて、未開封のまま持って帰って来ちゃいました(今では妹の部屋着に)。それにしても、イングランドサポな日本人がこんなに多かったとは・・・。まぁ、イングランド戦になるって決まってからこのチケットを買った人やイングランドのTSTを持ってた人は少ないだろうから、ほとんどの人が「今イングランドが流行ってるから」ってな具合なんでしょうな。
 私たちは、心はブラジルサポでした。友達はもともとブラジルサポだそうだし、私も静岡県西部の人間なのでブラジルのほうが身近だし。あと、リバウドがかっこいいなぁと思ってたんで、「生ベッカム」よりも「生リバウド」のほうが楽しみでした。ベッカムは見てきたって自慢できるなってところです。なんにせよ、両チームともワールドカップ優勝経験国で、今もサッカー界をリードしている国同士なので、良いゲームが見られないわけがないですから、これからどんなスーパープレーが見られるんだろう?と、やっと「ワールドカップだ」って感じになりました。

(イングランド側)

(ブラジル側)
(どっちも白いですねぇ〜)
 ホントベッカム人気はすごいっスねぇ〜。ちょろっと出てきただけで「キャー」、選手紹介の写真だけで「キャー」ですから。私達もベッカムを撮ってくるようにとの指令を受けていたけど、前述の通りデジカメがやられちゃって、「写ルンです」での作戦実行だったのでやっぱりいい写真は期待できなかったので、大型ビジョンに映し出された写真を撮ってヨシにしちゃいました。実物を撮ろうと頑張っても、その特徴的な髪型からベッカムだとは認識できるけど、顔とかは全く分からない状態ですからしょうがないですよ。一応、ゲーム中のベッカムや他の選手も撮ってみたけど、やっぱりまめっちくなっちゃいました。フィルムには焼き付けられなかったけど、その分、自分の目と記憶にはしっかりと焼き付けてきましたから。ベッカムのプレーはベストコンディションの時に比べたらちょっと・・・という感じは否めなかったけど、ブラジルのほうはチームの勢いそのままにロナウドもリバウドもすごかった(DFのほうはまだ危なさが残ってたけど)。その中でもロナウジーニョは特にすごかったです。2点目のFKは、GKとの間に入れてくると思ってたんで、友達と話をしていて2人とも喜び遅れちゃいました。そしてそのあとに2人とも鳥肌が立ちましたよ。
 そんなこんなで、スーパープレーも随所に見られたし、「1人アウェー」状態の友達を隣で眺められたしで、本当に特別な日になりました。ゲームがすごく凝縮されていたので、なんかあっという間に終わっちゃったような感じです。おかげでサッカー観戦の必須アイテム「ポテロング」を食べる暇がありませんでした。なので、試合終了後に「ポテロング ワールドカップ参戦記念」ということで食べてきましたよ。
 フーリガンの国イングランドが敗れたわけではありますが、イングランドサポのほとんどが日本人ですから、特に混乱はなくスムーズに帰ってこられました。掛川駅ではちょっとあったらしいですけど。
 ワールドカップが終わって3ヶ月。最近は本当に時の経つのが早くて、あの感動の1ヶ月間がずいぶん昔のことように感じます。しかし、これだけのことをサッと思い出すことができました。それは4年経っても、8年経っても何年経っても変わらないでしょう。私だけではなく、日本中のワールドカップを経験した人たちみんながそうだと思います。明日(10月7日)には、ジーコジャパンの初戦・ジャマイカ戦の代表メンバーが発表され、2006年ドイツワールドカップへのスタートを切ります。今回の経験を生かして、次はベスト8を第一目標に頑張ってもらいたいです。今度は観に行けないと思うので、千羽鶴でも折ろうかな?

(試合後、しみじみとポテロングを)
(2002年10月6日)

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